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2007/06/28

男は遺族の前でドラえもんを信じたと口走る

「聞くに堪えない3日間」=元少年から見下ろされた-遺族の本村さん・母子殺害 (時事通信)
「元少年の被告(26)の口から殺意と乱暴目的を否認する言葉が次々と出たことに「聞くに堪えない3日間。あまりにも身勝手な主張が多く、亡くなった者への尊厳のかけらも見えなかった」と語気を強めた。本村さんは3日間の法廷に、亡き妻と娘の遺影を胸に臨んだ。この日、被告が退廷する間際、事件後に初めて目が合ったという。「鋭い目でにらみ付けられた。遺族を見下ろされた。きょうほど憤りを感じたことはない」と深い怒りをあらわにした。」

刑事訴訟法の289条1項をごらんください。

289条

「1 死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない。」 

訴訟の主導権を当事者にまかせ、裁判所は中立的な立場から検事と被告人の主張を判断しようという考え方を、当事者主義と呼びます。

もし刑事裁判が真実を明らかにし、迅速・公平な裁判を行うことだけを目的にしているなら、裁判所が訴訟の主導権を握っていいはずで、実際戦前はそうした刑事裁判が行われてきました。

しかしその職権主義は度を超すと、裁判官がキリキリと被告人を責め立てる裁判システムに通じる傾向を露わにしはじめます。

そうした刑事裁判では、もしわたしやあなたが誤って被告人となってしまったとしても、裁判官にとって聞かれたことだけ答えればよい、単なる取調べの客体としかなりえません。

そこで現代の刑事訴訟システムは戦前の風潮を反省し、裁判官が一歩引いた当事者主義を強調することになっています。

しかし一方でいったい現場で何があったのか、だれが犯人なのかをはっきりさせるという要請もまた重要であり、現代刑事訴訟ではその両者のバランスのとりかたが一大課題になっています。

そもそも当事者主義という哲学をささえる土台には、事実を追究する人と判断する人が同じ立場にいれば、判断が一方方向に偏りがちになるという人間への危惧があります。

わたしたち人間は、だいたいにおいて「自分が正しく、相手が間違っている」と考える生き物だからです。

当事者主義は、その人間の特性を補いつつも、刑事訴訟の目的をよりよく果たさせようとするレバレッジであるはずです。(私見)

そしてそのためには、検察官と被告人は堂々対等に渡り合えなければなりません。

そのことを特に被告人当事者主義とよびます。

黙秘権や弁護権という武器が被告人に与えられているのは、検察官という強大な権限の前でも被告人当事者主義をただの建前に終わらせないためなのです。

ただし一方で、被告人当事者主義による防御方法の数々が、法廷でそれを聞かされる遺族の感情もいとわなくてよいものかどうかは、訴訟技術とは別の位相にある問題です。

遺族感情を考慮して、刑事訴訟をより繊細に構築するならば、本来想像力という感受性が果たすべき役割も、もはや条文として用意しなければならない段階にあるのかもしれません。

 

 

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2007/06/26

YouTubeが告発の不受理を告発する

「当て逃げ」動画で大騒動 本人解雇、勤務先も謝罪(LivedoorNews)
「問題になっている映像は、車載カメラで夜間の道路を走行している様子を映したもの。一台の白い自動車が被害者の自動車を背後から煽りはじめ、側面に「どん」と体当たりした挙句、逃走するというものだ。被害者側のブログ(現在では閉鎖)によると、被害者側が警察に届けた際に、警察側に「きっとあなたが相手の気に触る様な運転したからでしょ。じゃなきゃ相手もこんなことしないでしょ普通?」などと言われ、当初、全く警察に取り合ってもらえなかったことから、ブログで映像を公開するに至ったという。」

刑事訴訟法の239条1項をごらんください。

第239条

「1 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。」 

捜査をはじめるには、捜査機関が「犯罪があると思料する」(189条2項)ことが必要です。

そして刑事訴訟法上、捜査機関が犯罪ありと考えた理由のことを「捜査の端緒」と呼びます。

捜査の端緒は、捜査機関が職務質問や自動車検問で自ら犯罪を感知する場合と、被害届や告訴等で捜査機関以外の人が犯罪を感知して捜査機関に届け出る場合があります。

そして捜査機関以外の人の届け出のうち、告訴権者や犯人以外の人が犯罪事実を申告して、その訴追を求める意思表示のことを、刑事訴訟法上「告発」と呼びます。

告発は犯罪があると考えれば、239条1項によってだれでもすることができます。[以上参照:田口守一 刑事訴訟法 第四版補正版 弘文堂]

刑事訴訟法の242条には、「司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない」とあります。

しかし警察活動による捜査の端緒が6.5%にすぎないことに対して、被害者の届け出は91.1%にのぼり、つまり警察署の窓口にはそれほど大量の相談が日々持ち込まれているのだといえます。

もし警察署が一般の会社の営業成績にあたる検挙率を高めようとするならば、単純にこの持ち込まれる大量の相談が”告発”にならなければいいわけです。

そのためかどうか、世界的な動画サイトに投稿されて騒ぎが大きくなるような事態を想定しないかぎり、窓口では分母がなるべく小さくされてしまう傾向にあります。

 

 

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2007/06/24

食肉加工という、不思議な大木から垂れる蜜

ミートホープ 肉に着色、水で増量か 偽装の実態が日報から次々(北海道新聞)
「原料の量と製造量に関し、つじつまのあわない記載がみられる投入原料日報「別の食肉加工業者によると、ひき肉の製造過程では、機械に肉がついてしまうため、原料に対し製造量が増えることはないという。ミート社は鶏肉の場合でも「肉十五キロに水五キロを混ぜ、二十キロにした」との情報もあり、水で肉の量を増やす偽装がひんぱんに行われていた可能性もある。」

ハム類の日本農林規格の第4条をごらんください。

第4条(抜粋)

「ボンレスハム、ロースハム及びショルダーハムの規格は、次のとおりとする。

標準

赤肉中の水分 75%以下であること」 

食肉流通の過程で、関係者にどのように利益が反復創造される余白があるのでしょうか。

この点を鋭く指摘した書物に、立花隆さんの「農協」という文献があります。

昭和54年の著作のためディティールは現在と異なる部分もありますが、非常に重要な指摘が存在しますので、三箇所を加筆訂正せずそのまま引用してみます。

「輸入肉はキロ三百円から六百円の調整金を上乗せされているとはいえ、国産肉よりはるかに安い。正規ルートからの横流しで中間マージンをとられてもまだ安い。だから国産肉と混肉すれば、小売りは相当のマージンを稼ぐことができる。肉の小売業界も小規模店が多く、経営は必ずしも楽ではない。だから、小規模の米の小売業者が混米で稼ぐように、肉屋も混肉で稼ぐのである。どんな流通業界でも、一物多価あるいは多物一価の流通を人為的に強制させようと思っても、流通ルートの中を流れるうちに、自然に調整されてしまうものである。だから、畜産振興事業団が調整金をとらずに、もっと安く肉を放出すれば輸入肉がもっと安くなるはずだという議論があるが、それは誤りで、そんなことをしても、放出割当権者、買参権者をふやすだけで、差益のほとんどすべては流通各段階の業者に吸いとられて終わるだけというのが経済の現実原則なのである。」

「輸入牛肉は国産牛肉にくらべて安すぎるために、どうしても利権問題となる。数年前のビーフ・マフィァ騒ぎのように世の批判をあびて、いろいろ手直しを重ねるうちに、いよいよ複雑なものになってきたのである。現在その差益は、先に述べたように、流通各段階の"うま味"として残っている分もかなりあるが、かつての利権的差益の大半は、畜産振興事業団の調整金として吸いとられている。その金額が五十三年で実に四百五十億円にものぼる。これは、畜産振興事業に対する助成金として使われることになっている。そこで今度は、輸入牛肉の配分にあずかること以上に、この助成金の配分が利権の対象になっている。その配分権を握るのは、事業団と農水省の畜産局である。補助金が大半を占める農水省の予算は、ただでさえ政治が介入した分捕り合戦になっているのに、国会の議決が必要な一般予算とちがって、事業団の助成金は農水大臣が最終決定権を持つ。実質上は畜産局が配分権を持ち、大蔵省にわずらわされることがない第二の予算となっている。その配分には予算の配分以上に政治家が介入し、またその配分や出資の受け皿のための団体、輸入牛肉配分団体が山ほどあり、そこには、しばしば農水省の官僚OBが天下るという乱れた関係もある。そうした団体のなかには、たずねてみると事務所が同じで、看板が二枚かかっているというようなところもあるほどだ。この巨額の調整金もよく考えてみると、最終的には消費者が肉の購買を通じて支払っている一種の間接税なのである。」

「実際、一般の食肉加工品の品質はかなりひどい。ハムなどは、豚肉に注射針で味つけのビックル液を大量に(重量比で肉の三割、四割は当たり前、ひどいときは七割も)ぶち込み、それをマッサージ機にかけて浸透させ、入れすぎたビックル液が肉と分離しないように結着剤の重燐酸塩を加え、増量剤として大豆タンパク、カゼイン、脱脂粉乳などを「調味料」の名目で加え、場合によってはJAS規格の検査をとおすために、検査用の製品を別につくるということまでおこなわれるという。業界内部でも、最近あまりに品質低下がいちじるしく、消費者の反発をまねきかねないから、少しやり方をつつしもう(やめようではない)と、そうした操作の自粛基準なるものを業界団体でもうけたほどだ。だいたいJAS規格そのものがひどいもので、ハムというのは本来塩漬け肉だから、生肉より水分が減らねばならないのに、生肉で五二・五%の水分があるロース肉を使用したロースハムの水分基準がなんと「六五%以下」なのだ。計算してみると、ロース肉一〇〇グラムに三六グラムの水を加えなければ六五%の水分にはならない。これでは農水省がハムに水をぶち込むことを奨励しているようなものではないか。」

(以上引用:農協 立花隆 朝日新聞社出版局)

昭和54年当時、立花さんによりハムの水分65%という点に視点の緩さを指摘されたJAS規格ですが、現在の4条は特級、上級で72%、標準で75%とさらに規制が緩くなっています。

いうまでもなくハム類のJAS規格第4条は、消費者の意思という私的自治の根本と、業者の利益追求のバランスをとろうとする立法趣旨です。

その大切な数字がいかなる力学によってさらに消費者に不利に動いたのか、それは行政の進化なのか退化なのか、単なる消費者であるわたしやあなたにはわかりません。

そして食肉加工品をめぐるこの理解の難易度にこそ、行政も含め関係者がこぞってキャッシュ・ジェネレータを備え付けられるスペースが存在しているのだといえそうです。

 

 

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2007/06/19

お金の峰で管理人の羽振りがよくなった

腐れ社保庁OBの大放言…無責任対談本の中身とは 当時から記録消滅予見も「見切り発車した」(ZAKZAK)
「まさに「国民のカネは自分たちのもの」と聞こえるこの発言は、年金制度草創期の1943-45年に厚生省年金局年金課の課長だった花澤武夫氏(故人)によるもの。88年発刊の『厚生年金保険制度回顧録』(社会保険法規研究会)に記されているものだが、この本は年金制度草創期から時系列に、当時の担当者に社保庁OBらが話を聞く形でまとめられている。」

国民年金法の第75条をごらんください。

第75条(運用の目的)

「積立金の運用は、積立金が国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら国民年金の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたつて、国民年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。」 

以下件の書籍、「厚生年金保険制度回顧録」から、指摘されている箇所を正確に引用してみましょう。

「花澤

それで、いよいよこの法律ができるということになった時、すぐに考えたのは、この膨大な資金の運用ですね。これをどうするか。これをいちばん考えましたね。この資金があれば一流の銀行だってかなわない。今でもそうでしょう。何十兆円もあるから、一流の銀行だってかなわない。これを厚生年金保険基金とか財団とかいうものを作って、その理事長というのは、日銀の総裁ぐらいの力がある。そうすると、厚生省の連中がOBになった時の勤め口に困らない。何千人だって大丈夫だと。金融業界を牛耳るくらいの力があるから、これは必ず厚生大臣が握るようにしなくてはいけない。この資金を握ること、それから、その次に、年金を支給するのは二十年もかかるのだから、その間、何もしないで待っているという馬鹿馬鹿しいことを言っていたら間に合わない。戦争中でもなんでもすぐに福祉施設でもやらなければならない。そのためにはすぐに団体を作って、政府のやる福祉施設を肩代わりする。社会局の庶務課の端っこのほうでやらしておいたのでは話にならない。これは強力な団体を作ってやるんだ。それも健康保険協会とか、社会保険協会というものではない、大営団みたいなものを作って、政府の保険については全部委託を受ける。そして年金保険の掛け金を直接持ってきて運営すれば、年金を払うのは先のことだから、今のうち、どんどん使ってしまっても構わない。使ってしまったら先行き困るのではないかという声もあったけれども、そんなことは問題ではない。貨幣価値が変わるから、昔三銭で買えたものが今五十円だというのと同じようなことで、早いうちに使ってしまったほうが得する。二十年先まで大事に持っていても貨幣価値が下がってしまう。だからどんどん運用して活用したほうがいい。何しろ集まる金が雪だるまみたいにどんどん大きくなって、将来みんなに支払う時に金が払えなくなったら賦課式にしてしまえばいいのだから、それまでの間にせっせと使ってしまえ。」

国民年金は、元々自営業者などを加入者として創設されましたが、法改正で全国民を対象として基礎年金を支給する制度となりました。

もともと社会保険とは、保険のメカニズムで社会の構成員全体やその一部である労働者等を強制加入の被保険者とし、国などの公的機関を保険者として、被保険者や使用者などから集めた保険料を財源に、老齢等が発生したときに、被保険者やその家族へお金を提供する制度をいいます。

それは1880年代のドイツ第二帝政期にビスマルクによって導入され、現在では世界各国の社会保障制度の中核となっています。

社会保険は運営利益を含め、国民全体から集めてお金を巨大なかたまりにしたときはじめて得られる効果に期待するところが大きなシステムです。

そこに法によって巨大なお金のかたまりが現象として出現するとき、それを直接取り扱う官庁には誠実さと細心の注意が要求されるのはいうまでもありません。

にもかかわらず引き起こされてしまった現在の年金をめぐる取り扱い部署の混乱は、150兆円という巨大なお金の塊の威力をめぐって、まるで取扱官庁自身が酔いつづけてきたかのようです。

OBの野放図な放言も、社保庁が自前の書籍として記録しています。

今となっては国民年金法の75条は、自らの老後を賭けて保険料を支払う被保険者一人一人の顔を官庁がぞんざいに忘れるという現在の事態を、運営という側面から予言した条文であるかのようです。

 

 

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2007/06/15

醜聞は狙ったとおり飛び散った

総連本部売買 あまりに筋の悪い話だ(中日新聞)
「総連系の十六の朝銀信用組合は一九九〇年代に破綻(はたん)した。架空名義などを使って総連に融資した六百二十八億円が焦げ付いたまま、総連はRCCから返還を求められている。敗訴の可能性が大きく、そうなれば中央本部の土地と建物など総連の財産は差し押さえられる。今回の売買はその矢先のことである。「五年後に総連が買い戻す条件付きで三十五億円で契約し」、総連は従来通り本部を使用する。しかも購入した方の会社は昨年九月に設立され、元長官は四月に代表取締役に就任したばかりで、購入代金はまだ支払われていないという。強制執行逃れの仮装売買を疑われても仕方がない。」

民法の579条をごらんください。

579条(買戻しの特約)

「不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。 」 

民法の579条にいう買戻しとは、売買契約の際の特約によって、売主が代金および契約の費用を買主に返還することで売買契約を解除し、目的物を取り戻すことをいいます。

たとえばわたしがあなたから借金をする時に、お金を返せば買い戻しできるという特約付きでわたしが所有する不動産をあなたに譲渡するようなことです。

条文の文言上、その目的物は不動産に限定されますし、その買戻しの特約は売買契約と同時になすことが必要です。

買戻権は、買戻権者、今回でいえば朝鮮総連が買戻義務者、つまり元公安長官へ意思表示することで行使できます。

このときもし長官が総連建物を第三者に譲渡していたとしても、買戻権が登記されていれば、判例理論上、朝鮮総連は建物を買った第三者に対して堂々と買戻しを宣言できます。

それほど買戻権者の権限は強く、つまりそれは本来売買というよりも所有権を手放す気のない人が担保的に不動産を差し出す場合に用いることを想定した契約形態なのです。

金銭を総連に融通するわけでもないのに、このような結局売買であって売買ではないような買戻し特約付きの契約を元公安調査庁長官がなすことにはどのような意味があったのでしょう。

すくなくともニュースを読むわたしやあなたには、公安調査庁という存在の非絶対性を憶測させました。

もっとも驚愕したのは内閣府自身だったかもしれません。

そして社会に公正をもたらすはずの行政が、醜聞をただ恐れるなら、社会に公正が枯渇することになるはずです。

 

 

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2007/06/12

ホームレスという私の宿題

ホームレス支援で全国組織設立   対策強化を国に提言へ (共同通信)

「ホームレス支援に取り組む特定非営利活動法人(NPO法人)などが9日、多様化するホームレス問題に対応するため「ホームレス支援全国ネットワーク」を東京都内で設立、自立支援センターの機能見直しや相談窓口拡充などを求め、国に提言することを決めた。提言は(1)従来は入所型だったセンターを通所でも利用できるようにする(2)センターのない地方都市のホームレスの支援を充実させる(3)再び路上に戻らないよう長期間サポートする-などが柱。」

生活保護法の11条をごらんください。

第11条

「保護の種類は、次のとおりとする。
1.生活扶助
2.教育扶助
3.住宅扶助
4.医療扶助
5.介護扶助
6.出産扶助
7.生業扶助
8.葬祭扶助

前項各号の扶助は、要保護者の必要に応じ、単給又は併給として行われる。」 

(以下参照:知っていますか?ホームレスの人権一問一答

もしわたしやあなたがリストラや倒産などで、突然部屋の家賃を払えないほど生活に困窮してしまった場合、わたしたちの最後の頼みの綱は国の公的扶助、つまり生活保護のはずです。

事実生活保護法の11条は、生活、教育、住宅、医療、介護、出産、生業、葬祭の扶助を事細かく認めています。

文面上、私たちの生活を襲う不意の事態に対する公的バックアップは抜かりがなさそうです。

しかし、実際には、ホームレスが福祉事務所の窓口を訪れても、「住所がない」「稼働年齢だから」という理由で、申請さえも受け付けられないという場合が、これまでは大半でした。

そのような対応になる原因として縦割り行政の弊害が指摘されています。

つまりこれまで所得を失ったことに対する金銭的給付である所得保障は、労働災害保険と失業保険として発展してきました。

一方で生活保護のほうは、もっぱら労働問題以外の、長期疾病、障害、高齢、母子家庭などのケースに対応するようになっていました。

したがってわたしたちの身にもし倒産、リストラなどによる失業がふりかかっても、その生活の保護は、失業保険やハローワークなど労働行政が担当する問題だと考えられてきたのです。

そのため、もし稼働能力がある場合、どれほど生活に困っていようが、窓口が生活保護を申請させることは、ほとんどありませんでした。

厚生労働省はホームレスや支援者などから起こされた訴訟の判例をうけて、野宿生活者に対する生活保護の適用問題について、一九九〇年代後半から「稼働能力があるからといって、また、住所がないからといって、保護の要件を欠くわけではない」と全国の福祉事務所を指導してきています。

しかしまだまだ、この指導はいきわたっていません。

地方都市では、支援グループがアパートを借り上げ、野宿者が、そこを居所にして生活保護を申請するという方法が取られています。

そして居所があれば、稼働年齢でも申請が受理されます。

東京など大都市では、野宿者を入所させる民間の宿泊所が急増しています。

宿泊所というのは、社会福祉事業法にもとつく施設で、本来は、住宅に困っている「低所得」の人のための施設ですが、生活保護で生計を立てている生活保護受給者を入所させてもよい、というガイドラインを敷いている自治体も多く、最近、急増したこれらの宿泊所では、野宿者を入所させて生活保護を申請させているのです。

通勤時にターミナル駅で家を失った人達をみて、あなたはどこか不愉快に感じているかもしれません。

しかし制度を上手く稼働させられていない状況の中には、本来参政権をもってやわらかく働きかけることができるはずの、あなたやわたしの責任の一端も見つけられます。

なによりもホームレスという立場は、ある日仕事を失ったり、理由も分からず勤労意欲を維持できなくなった明日のわたしやあなたでない保障はどこにもないのです。

家がない人達が十分保護されていないその光景は、そうとは名乗らずにわたしたちに提出されている宿題でもあります。

 

 

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2007/06/07

ディードスアタック:将軍は電子化した

“ハッカー大国”露政府、IT国エストニアにサイバー攻撃か(産経新聞)
「エストニア政府は先月末、第二次大戦でのソ連軍の勝利を記念した銅像を首都タリンの中心部から郊外に移転した。これに対してロシアは「戦死者に対する冒涜(ぼうとく)だ」などと猛反発し、政財界の有力者がエストニア製品のボイコットや経済制裁を呼びかけるなど両国関係は急激に悪化している。エストニア外交筋によると、サイバー攻撃は、同国政府が銅像を撤去した4月27日から始まり、一度に大量のアクセスを集中させてインターネット・サイトやネットワークをダウンさせている。これまで大統領府や政府、国防省、外務省といった多数の政府機関と主要な銀行や新聞社がサイトの停止などに見舞われ、一時は携帯電話網や救急ネットワークも攻撃を受けた。しかも、政府の専門家が調査したところ、初期の攻撃ではクレムリンやロシア政府のIPアドレスが使われていたことが判明。」

電気通信事業法の180条をごらんください。

第180条

「1 みだりに電気通信事業者の事業用電気通信設備を操作して電気通信役務の提供を妨害した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。(以下略)」 

DDoS攻撃とは、乗っ取った大量のコンピュータから一度に大量のアクセスを集中させサービスのダウンを狙うネットワークの攻撃方法をいいます。

ハッカーはまず将軍役となります。

そして選んだ数台の隊長役サーバに攻撃ツールを埋め込み、密かに乗っ取ります。

つぎにそのサーバが数百台から数千台のコンピュータを歩兵役に選び、同じように攻撃ツールが密かに埋め込まれます。

そして将軍が指令を送れば、歩兵が機能停止するような信号や処理能力を一斉にターゲットへ送りつけ、コンピュータの動作を落とそうとするのが、一連のオペレーションです。

その指令はメール一本で可能なので、ノートパソコン一台あれば世界中どこからでも気軽にサイバー戦争の火ぶたを切ることができます。

ツールの埋め込みには普通ワームが使用されますので、ワーム自体を捉えれば我が国の法律上、不正アクセス禁止法の3条2項2号に該当するともいえます。

しかし、もし攻撃者に通信回線そのものを輻輳させ、通常の機能を阻害するという重大な故意があった場合には、電子計算機損壊等業務妨害罪か、偽計業務妨害罪の成立が考慮されます。

そして場合によっては、2003年に韓国で起こったようにインターネット回線を構成する「通信の妨害」や「通信システムの破壊」という通信犯罪の被害結果が現実に生じることもあります。

このときは有線電機通信法違反(有線通信妨害罪・同法13条),電気通信事業法違反(電気通信提供妨害罪・同法180条)が適用される可能性があります。(出典:ハイテク犯罪捜査入門 捜査実務編―図解・実例からのアプローチ

結局DDoS攻撃はクリック一発で、一国のインターネット回線を麻痺にまで追い込むことができ、もしその結果を欲する他国があるとき、そのワームはサイバー戦争の手段として重要な兵器になり得ます。

そしてその砲火は、すでに通信回線の中を現実に飛び交っているようです。

 

 

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2007/06/05

ミツバチは己を放棄して4000万年を手に入れた

銀座ハチミツ飛ぶ人気 ビル屋上に10万匹(朝日新聞)
「ミツバチを飼っているのはNPO法人「銀座ミツバチプロジェクト」。紙パルプ会館(銀座3丁目)屋上で飼育し始めたのは昨年3月。沖縄の業者から購入するなどした。昨年に続いて今年も10万匹が活動する。 」

憲法の13条をごらんください。

第13条

「すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。」 

ミツバチの針には、釣針のような逆鉤がついていて、脊椎動物を刺すとぬけなくなります。

そして刺したハチは針を失い、早晩死ぬ運命にあります。

しかしちぎれて敵の体表に残った針からでる揮発性物質は、他のハチを強く興奮させます。

一匹が刺せば、次々と特攻隊員たちが刺しつづけます。

数万の個体を含む集団にとって、巣がまもられるなら、数百の個体が死んだとしても、ハチの社会では問題にはしません。

ミツバチの社会にはおよそ四千万年以前から、こうした個体の自立性を完全に集団に譲り渡した、冷厳な社会構造ができ上っています。

彼らハチ類(膜翅類)は十万以上の種類を持ち、さらにその数倍の未発見種が予想されている動物界屈指の大所帯です。

そしてその類としての抜群の安定性は、ヒエラルキーという機能に個体を迷いなく押し込んできたことで成り立っています。(参照:みつばち―自然界の幾何学者

わたしたちの憲法の13条が謳う”個人の尊重の原理”とは、個人主義、つまり社会における価値判断の出発点を個人に求める考え方を宣誓したものです。

それは国家の利益を個人の自由の前に優先させる、戦前の全体主義という思考方法とは180度異なった原理です。

しかし”個人の尊厳”という思考原理は、単に利己主義を許すものではなく、利己主義と全体主義の両極端を排斥し、”基本的人権”というモデルのプロポーションを憲法に最初に記述するものです。

そしてその個人から出発する思考方法が、繁栄という点でミツバチの社会構造の歴史を凌駕できるかどうかは、ひとえにヒト類の最終兵器、”想像力”が請け負っています。

 

 

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2007/06/01

電子国家と外交特権

「セカンドライフ」にスウェーデンも「大使館」開設 (zakzak)
「スウェーデン政府は30日、欧米で流行しているインターネット上の仮想社会ゲーム「セカンドライフ」に“大使館”を開設した。同国政府によると、同ゲーム内に政府が仮想の大使館を開くのはモルディブに続き世界で2番目。館内では自国の文化、産業を紹介し、美術展などを開催するという。「セカンドライフ」内では同日、開設式典が行われ、ビルト外相の「アバター(分身)」がテープカットを行った。同外相は「スウェーデンは革新的で、未来に対する好奇心の旺盛な国」と述べ、世界で500万人以上が参加する同ゲームでの活動を強化する意向を示した。(共同)」

ウィーン外交関係条約の22条1項をごらんください。

第22条[公館の不可侵]

「1 使節団の公館は、不可侵とする.接受国の官吏は、使節団の長が同意した場含を除くほか、公館に立ち入ることができない。」 

外交使節団の構成員とその公館が接受国において享有する特権、免除のことを外交特権といいます。

ウィーン外交関係条約は、外交特権をはじめ、”国内にある国外”についてたくさんの特権と免除を規定しています。

それは外交関係を規律する、最も基本的な多数国間条約です。

ただし同時に外交特権享有者はその特権と引き替えに、接受国の法令を尊重する義務と接受国の国内問題に介入しない義務があります。

ウィーン外交関係条約は、もともと慣習国際法として形成されていた外交関係に関する諸規則を、成文化したものです。

つまり本来は日本なら日本政府という国家権力が管理するはずの土地に、慣習という”無言の合意”によって仮想的に他国の管理するエリアを出現させるわけです。

しかしたとえば日本と呼ばれる土地も、どれだけ歴史を遡っても日本という名札が付いていたわけではありません。

その証拠に、かつて日本の領土であった土地も政治的理由により現在他国に接収されてしまっているように、時代によって日本と呼ばれる土地は拡大・縮小を続けています。

いわば地上という土くれの上は、人間という生き物の互いの仮想によって県境や国境という杭が打たれているわけです。

それはそもそも仮想的な庭なのですから、そのなかに外交特権という他国の仮想的な柵を設けることは、たやすいことなのかもしれません。

とはいえこれまでの国家間の事情と、たくさんの血と肉が吹き飛んできたことで、国境という仮想的な柵には簡単には揺るぎがたい得心が与えられています。

電磁的な純仮想空間「セカンドライフ」は、、現実通貨による土地の売買もなされていますが、現在までのところそこには飛び散った血と肉がありません。

現実国家との法律的な矛盾を解消し、リンデンラボ社がどこまで参加者に安全な統治を提供できるかは、他国の統治を迎え入れる外交特権のような”特殊な合意”を、各国家が電子国家に向けて用意する日を待つ必要があるかもしれません。

 

 

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