2007/07/06

官房の声に官僚はそれがどうしたと答えた

厚労省の電子申請、欠陥ソフトを放置・情報流出の恐れ(日経新聞)
「雇用保険の申請などができる厚生労働省の電子申請・届け出システムを使用する際に必要なソフトウエアに欠陥があり、システム利用者がインターネットに接続すると情報が流出する恐れのあることが5日分かった。同省は6月下旬に内閣官房情報セキュリティセンターから指摘を受けたが、利用者に注意喚起しないまま放置していた。」

情報セキュリティセンターの設置に関する規則2条2項をごらんください。

情報セキュリティセンターの設置に関する規則

「2 センター長は、内閣官房組織令第10条の内閣官房副長官補をもって充てる。」 

内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)とは政府がITにおける情報管理のリスクマネジメントのため、基本戦略を決定する「情報セキュリティ政策会議」とともに、2005年にその遂行機関として設置された機関です。 

その長官は情報セキュリティセンターの設置に関する規則の2条2項によって、内閣官房副長官補が任務に当たることになっています。

ここで内閣官房とは、内閣、つまり国家の操縦席における事務を助けるため、内閣法が設置する内閣内の機関のことをいいます。

そのように内閣にたくさんの付加機関が用意されていることには、時代の変遷がかかわっています。

これまでわたしやあなたの国の運営は、事実上官僚による政策の決定で行われており、内閣や与党が官僚をコントロールするという建前を実行するためには、あまりにもその力は非力でした。

また政権を担当する能力をもつ健全な野党も存在しておらず、本質的にいってわたしたちの議会政治において国民主権は実際には駆動していない状態でした。

そこで、内閣を強化することで実質的に政策決定を行い、官はそれを執行することに専念し、野党は内閣をコントロールする役割を担うシステムが再度標榜されました。

さらにそのためには、まず選挙制度をより直接的に内閣編成へ影響できるよう再編成しなければならないという論説が唱え始められました。

これを「議会政の国民内閣制的運用論」といいます。

そしてこれに呼応するように、中央省庁等改革基本法は内閣の強化を基本理念とし、機能強化、総理の指導性の明確化、支援体制の強化という三つの基本方針を打ち出しています。

さらには内閣官房の強化・内閣府の設置・省庁再編を内容とする中央省庁改革関連法も制定され、2001年に実施されました。[参照:憲法 芦部信喜 第4版 岩波書店]

内閣官房付組織からの指摘を、官が放置したという事態は、もしかするとこうした力関係の再編期における権力のせめぎ合いが音を立てているのかもしれません。

 

 

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2007/06/15

醜聞は狙ったとおり飛び散った

総連本部売買 あまりに筋の悪い話だ(中日新聞)
「総連系の十六の朝銀信用組合は一九九〇年代に破綻(はたん)した。架空名義などを使って総連に融資した六百二十八億円が焦げ付いたまま、総連はRCCから返還を求められている。敗訴の可能性が大きく、そうなれば中央本部の土地と建物など総連の財産は差し押さえられる。今回の売買はその矢先のことである。「五年後に総連が買い戻す条件付きで三十五億円で契約し」、総連は従来通り本部を使用する。しかも購入した方の会社は昨年九月に設立され、元長官は四月に代表取締役に就任したばかりで、購入代金はまだ支払われていないという。強制執行逃れの仮装売買を疑われても仕方がない。」

民法の579条をごらんください。

579条(買戻しの特約)

「不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。 」 

民法の579条にいう買戻しとは、売買契約の際の特約によって、売主が代金および契約の費用を買主に返還することで売買契約を解除し、目的物を取り戻すことをいいます。

たとえばわたしがあなたから借金をする時に、お金を返せば買い戻しできるという特約付きでわたしが所有する不動産をあなたに譲渡するようなことです。

条文の文言上、その目的物は不動産に限定されますし、その買戻しの特約は売買契約と同時になすことが必要です。

買戻権は、買戻権者、今回でいえば朝鮮総連が買戻義務者、つまり元公安長官へ意思表示することで行使できます。

このときもし長官が総連建物を第三者に譲渡していたとしても、買戻権が登記されていれば、判例理論上、朝鮮総連は建物を買った第三者に対して堂々と買戻しを宣言できます。

それほど買戻権者の権限は強く、つまりそれは本来売買というよりも所有権を手放す気のない人が担保的に不動産を差し出す場合に用いることを想定した契約形態なのです。

金銭を総連に融通するわけでもないのに、このような結局売買であって売買ではないような買戻し特約付きの契約を元公安調査庁長官がなすことにはどのような意味があったのでしょう。

すくなくともニュースを読むわたしやあなたには、公安調査庁という存在の非絶対性を憶測させました。

もっとも驚愕したのは内閣府自身だったかもしれません。

そして社会に公正をもたらすはずの行政が、醜聞をただ恐れるなら、社会に公正が枯渇することになるはずです。

 

 

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2007/04/16

機関にうんざりして女神はトーチをかかげた

保釈金:立て替え業者急増 刑事被告人対象に「担保不要」(毎日新聞)

「刑事被告人が保釈の際に裁判所に納める保釈保証金を立て替える専門業者がある。多いところでは、年間で800件以上も扱っており、年々増える傾向にある。保証金の額は、裁判所が事件の内容や被告の資産状況などから決める。「被告の家計が苦しい場合に助かる」と評価する声がある一方で、「第三者である業者の介入は、制度の理念を揺るがしかねない」など疑問視する法曹関係者もいる。」

刑事訴訟法の93条2項をごらんください。

第93条

「2 保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。」 

保釈金とは、被告人を保釈しても再出頭することや、彼が証拠を隠滅しないことの保証金として裁判所が納付を命じる一定の金額のことです。

93条2項によれば、その金額は、犯罪の性質および情状、証拠の証明力ならびに被告人の性格および資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならないとあります。

しかしここでいう”相当”という言葉は”懲らしめるに十分な”という意味ではなく、”公平な額であれ”という意味です。

実は戦争に負けてすぐ、マッカーサーによって差し出された憲法の草案には、以下のような条文が存在していました。

「第35条 過大な保釈金を要求してはならない。また残虐または異常な刑罰を科してはならない。」

憲法で保釈金の話まで言及する必要はないということで削除されていますが、自由の国の哲学上、”過大すぎる保釈金”という現象は、「残虐な刑罰」や「異常な刑罰」と同列に語らしめる公権力の横暴という認識だったのです。(私見)

保釈金は保釈を許すという趣旨からさかのぼれば、被告人の出頭を確保できれば済むだけの負担にとどめるべきですし、彼が納付の見込めない程の金額を決定するのは被告人という立場を法学上導き得ないほどみじめなものにしてしまいます。

(被告人とはあくまで罪を疑われて訴追された立場にいる人のことで、罪人のことではありません。)

そして現在、わたしたちの国の保釈金額の決定は、平均的にみて、高額に傾きすぎているといいます。[参照:口述刑事訴訟法〈中〉光藤景皎 成文堂]

わたしたち自身がいつ誤って何かの事件の犯人として捕らえられるのかわからないことを考えれば、刑事訴訟システムは徹頭徹尾公平であって欲しいものです。

そしてそれ以上に、裁判所は無機質な手続で保釈額を決定する機関ではないことを祈っています。

 

 

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2007/03/30

弾はいくらでもあると傭兵がいう

“盗作”大田区議また悪癖…Wikipedia丸写し (zakzak)
「税金で行った欧州視察の報告書の一部に、大学名誉教授の講演資料を無断引用 した自民党の鈴木章浩・大田区議(44)=顔写真=が、別の海外視察の報告書でもインターネット上の記述をほぼ丸写ししていた疑惑が29日、浮上した。」

地方自治法100条13項をごらんください。

「100条

13 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。」 

現在、地方議会の会派又は議員に支給されている政務調査費は、平成12年の地方自治法改正によって平成13年度から施行されたものです。

この法令の趣旨は、地方分権の進展に対応した「地方議会の活性化を図るためには、その審議能力を強化していくことが不可欠であり、地方議員の調査活動基盤の充実を図る観点から、議会における会派等に対する調査研究等の助成を制度化し、あわせて情報公開を促進する観点から、その使途の透明性を確保しようとしたものです(第147回国会衆議院地方行政委員会)

そして「政務調査費」は、地方自治法改正前の従来の「公益上必要」とされたものでなく、「地方議会の会派又は議員の調査研究に資するために必要な経費」として交付されることにより自由度が高くなっています。

地方自治法を改正して交付金の自由度を確保したのは、あくまで地方議会の活性化にあったため、厳密に言ってそれは、議員個人の活動の補助費ととらえるべきものではありません。

そして政務調査費の透明性は収支報告書をもって確保することになっています。

たとえば海外の視察には、視察の目的が必要ですので、視察の報告書は、視察の目的、視察内容、視察結果を分かるように作成することが要求されます。

(以上参照:政務調査費―その使用実態と問題点 宮沢昭夫)

政務調査費はその本質を議員達に誤解されています。

その交付金の自由度が高いのは、ただただ彼にさらに質の高い代議を行って欲しいだけなのです。

せめて報告書はその期待を裏切ってはなりません。

 

 

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2007/03/21

社会という万華鏡、争点という覗き穴

東京地裁の堀江判決を批判する(Livedoor News)
「ライブドア事件の本質は「投資組合を通じて行った自社株の売却益を、利益として計上した」という企業会計の問題に尽きる。もし利益計上が合法なら無罪、違法なら有罪、という裁判だ。事件当時、この利益計上が合法か違法かは、公認会計士ですら判断に迷う問題だった。16日の判決では、どう判断されたのだろうか。裁判所は「投資組合は脱法目的で設立され違法」とし、投資組合の存在を否定した。だから、前述の利益計上そのものが法的にどう位置付けられるのかについて、直接判断をしなかった。裁判官は、判断から逃げた。」

刑事訴訟法の256条3項をご覧下さい。

第256条

「3 公訴事実は、訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。」 

起訴状に「訴因」を記載する制度は、戦争に負けて新しくできた現行刑事訴訟法ではじめて採用されたものです。

訴因とは、検察官による犯罪事実があったことの主張です。

旧刑事訴訟法における起訴状では、単に「犯罪の事実」を示すものとされていました。

それは、旧法では、裁判所は起訴状記載の犯罪事実に拘束されないで、被告人の犯した罪を広く審判することができたからです。

現行法は、被告人席に呼ばれた人が疑われている点に対して十分対応策をとれる権利を保障するため、このような「犯罪事実」の記載方式は維持できないこととなっています。

そこで新たに採用されたのが「訴因」という制度でした。

[参照:田口守一 刑事訴訟法 弘文堂]

訴因という考え方を採用したことで、被告人席に座った人は自分の全人生を360度弁解する必要はなくなりました。

特定の訴因は、起訴状に検察官が書いた時点では彼の主張にすぎず、客観的な嫌疑ではありません。

そして普通、訴因の全ては争われず、そこに争点となる事実とならない事実が混在しています。

争点とは、訴訟において当事者が争う主要な論点のことです。

訴因は、被告人に野球場の広さを教え、争点はさらに被告人がセンターを守ればいいのか、サードを守ればいいのかを確定するものです。(私見)

またその効果として、裁判所が一つの争点へ公的な結論を下せば、その公告機能によりフィールドの陰影ははっきりして、生活者は安心して経済活動等プレーに専念できます。

逆に裁判所が政治的判断によってひとつの争点に関する判断を回避したならば、わたしやあなたにとってフィールドは異常に広く不安な場所として維持されたままになります。

争点はその意味でひとつの訴訟に収まらず、裁判所から社会の形も再規定する機能をも持ち合わせています。

 

 

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2007/01/23

証を捨てよ神を食らおう

強姦実刑男性、無罪でした~富山県警(スポニチ)
「無実だった男性については、採取した足跡が一致しないことを認識しながら逮捕し、アリバイが成立する可能性があることも見落としていた。「裏付け捜査が不十分だった」と冤(えん)罪を認めたが、肝心の男性は刑務所から出て行方が分かっていない。県警の小林勉刑事部長は会見で「聞き込みで男性が浮上し、被害者の面通しなどで容疑者と断定した」などと、お粗末な捜査を振り返った。当時、捜査段階で現場から採取した足跡が男性の靴のサイズより大きかった事実を認識していたことについて「足跡については当時は疑問に思わなかった」。電話の通話記録からアリバイが成立していた点に関しては、山崎次平捜査1課長が「捜査を詰め切れなかった」とし、苦しい釈明に終始した。」「男性は懲役3年の実刑判決を受け、05年1月に仮出所。服役中に父が死亡し、葬儀には参列できなかったという。」

刑事訴訟法の317条をご覧ください。

第317条〔証拠裁判主義〕

「事実の認定は、証拠による。」

かつてヨーロッパでは焼けた鉄を容疑者に握らせ、その火膨れの具合によって罪人かどうかを判断した時代がありました。

または容疑者を水に投げ込み、彼が上手く浮かんでくるか、あるいはそのまま沈んでしまうかによって、罪人と決めたりしていました。

日本でもかつては煮えたぎる釜の熱湯に容疑者の手を突っ込ませ、その火膨れの具合で罪人かどうかを判断した時代が事実存在していました。

やがて多数の裁判を傍観してきたわたしたちは、さすがに想像上の存在に罪の判断を任せることに疑問を拭うことができなくなり、民衆の間のルールだけで裁判を完了させ、神に問うことを自然やめていきました。

さらにわたしたちは一人の個人に、「罰」という圧倒的権力を行使するために、「司法」という機構をはらんだ「国家」という概念を自然発生的に手に入れます。

そこでは神の判断と引き換えに、罪を断じるために用いられるのは本人も含めて誰の目からも明らかに罪を犯したことが証明できる”証拠”でなければならないと考えられることになったのです。

このことを日本の刑事訴訟法がうたっているのが317条、証拠裁判主義です。

もし存在する証拠が罪の行為者としてのものと合致しなければ、即座に彼を解き放つこと自体が、私たちが神をむさぼることをやめられたことのあかしとなります。

あやまった断罪は取り返しのつかない事態を疑われた人の人生にもたらします。

しかしそれ以上に、もし足跡が違っていようがアリバイが存在していようが自白だけで彼に罪を償わせてしまうなら、それはわたしたちがいまだ観念の奴隷でしかないことをそのたびに裏書してしまうものです。

  

 

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2006/10/07

家庭を破壊するため税金をJRに支払おう

不倫した細野「議員パスで入場しましたが…」 (zakzak)
「美人キャスターとの不倫旅行に、議員特権である「JR無料パス」を使用した疑惑が浮上している細野豪志衆院議員(35)=写真=は5日までに、「議員パスで入場しましたが、別途乗車券を購入しており、それを使用しております」などとするコメントを文書で配布した。細野氏はスキャンダル発覚当初、無料パスについて「一切使用していない。(天地)神明に誓ってこれは事実です」と語っていたが、夕刊フジの取材で、無料パスを使用して改札を通った事実が判明した。今回のコメントでは、家族旅行をする場合も「改札を通る時、議員パスを使用する時はあります」と説明している。だが、乗車券を購入しているのなら、なぜ改札を通る時に無料パスを使う必要があるのかなど、疑問は深まるばかりだ。」

歳費法の10条をご覧下さい。

国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律

第十条  

「各議院の議長、副議長及び議員は、その職務の遂行に資するため、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律第一条第一項に規定する旅客会社及び旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律 の一部を改正する法律附則第二条第一項 に規定する新会社の鉄道及び自動車に運賃及び料金を支払うことなく乗ることができる特殊乗車券の交付を受け、又はこれに代えて若しくはこれと併せて両議院の議長が協議して定める航空法第百二条第一項 に規定する本邦航空運送事業者が経営する同法第二条第十九項 に規定する国内定期航空運送事業に係る航空券の交付を受ける。」 

無賃乗車券は、明治31年に施政方針が決まらず帝国議会を開会できなかった山県内閣が全議員を一旦大阪で行われている陸軍の特別大演習に向かわせ開院式を先延ばしにするため初めて議員に発行されています。

実際、政府はその作戦で招集日から開院式まで27日間を稼ぐことに成功しました。

続く明治39年、政府は鉄道を国有化する法案を議会に提出、法案は成立し、これと交換のように無賃乗車証を議員に発行しました。

その後も無賃乗車証は国会議員どころか新聞通信社等へも発行され、行財政改革の声の下大正14年には一切の無賃乗車証の廃止を打ち出します。

しかし対抗する議員側はこれを機に同年3月議院法19条の2を新設、魔法の切符に法的根拠を与えました。

このようにひょんな事から生まれた国会議員の特殊乗車券は、現在は歳費法10条を根拠条文に予算を投入されることになっています。

その額は平成14年で航空機に5億6332万6千円、JRには4億9763万3千円。

JRへの金額は旧国鉄時代のおおよその概算を元に算出した負担予定額を、国がJRに一括前払いするものです。

つまり実際に各議員がどういう目的でいつどこまでJRを利用したのかは、追求する術がいまのところありません。

もし公正を期すためには、英米のように事務所経費、文書通信費、備品・消耗品費なども含んだ職務手当を支給し、その支給にはレシート等を添付した申請書を要求するようにすればよいのみです。

(以上参照:政策秘書が書く国会議員改革 白崎勇人 長崎出版

歳費法10条が廃案にされていない趣旨は、当然わたしたちの要望を代表する人(国会議員)によりよく働いてもらうために他なりません。

細野議員が「その部分は国会議員としての根幹に関わる」と特殊乗車券の私的流用を自ら全面否定するには理由があるというわけです。

彼は自身のHPで「最大の原因は、私の中の「おごり」であった」という謝罪を発表、大衆の一歩先をいく言葉でくさびを打つエリートらしい利発な対応を見せています。

しかし「全くJR無料パスは使っていない」という証言が「入場の時だけしか使っていない」という言葉に変わるに至り、事が道義上の追求では収まらない範囲に足を踏み出しはじめているのは歳費法10条の趣旨から明らかです。

国が、すなわちわたしやあなたが税金で前払いした国会議員の交通費は2005年度になると衆参あわせて12億310万5千円。

議員の鉄道乗車証には、提示する人の身分がすぐわかるように国会議事堂の絵が描かれています。

その乗車証の使い道を領収書で把握するシステムにしていないのは、わたしやあなたが国会に集う人たちを全てその言説どおりの人たちだと信頼するという思想によるにすぎません。

 
 

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2005/02/10

絶対自由主義の足元にたくさんの死体

耕作放棄地:農政中期指針に活用策 知事が賃借権設定へ(毎日新聞)

ワイマール憲法153条3項をご覧ください。

153条

(3)「所有権は義務を伴う。その行使は同時に公共の福祉に役立つべきである」 

自由国家理念、つまりだれにも抑圧されずに自由に経済活動を行えるとする考えに基づく近代市民社会では,財産権はフランス人権宣言によって「神聖不可侵の権利」だと高らかに歌われました。

けれど私有財産の絶対的保障にはこの世の富がほんの一握りの人たちに極端に偏在するという弊害があることが徐々に明らかになってきました。

そうするとほとんどのその他大勢の人たちに、いかにして富を分在させるべきかということが一大命題となり、社会国家的見地からの私有財産保障への修正要請が痛感されるようになりました。

その役割を果たしたのがワイマール憲法153条3項で、「所有権は義務を伴う」と私有財産の絶対保障にブレーキをかけています。

そしてわたしたちの憲法も、その29条2項で同じ道標を立てています。

そしてそのどちらの桜もが、絶対自由主義の理不尽な歴史の下に累々と眠る屍の上に咲いています。
 
 

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2005/01/27

図書館でパブリックサーバントが睨んだ

公立図書館の民営化進む (産経新聞)

地方自治法244条をご覧ください。

第二百四十四条(公の施設)

「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設を設けるものとする。

2  普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。

3  普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

改正地方自治法の244条は、施設の管理がこれまでは公共団体や、公共団体が1/2以上出資する法人に限定されていたものを、株式会社を含む「指定管理者制度」でよいことに変更しました。

この法改正で図書館も民営化が進んでいます。

そのせいか最近インターネットからの検索もとてもやりやすくなり、とても使いやすくなりました。

恵比寿周辺の図書館はそれぞれの自治体によってとてもよく特徴がでています。

(1)目黒区図書館は最もフレキシブル。蔵書も全般的に豊富で、ないものは他の区の図書館や都立図書館からも快く図書を取り寄せてくれます。ただしホームページが異常に重いです。

(2)渋谷区図書館はあまりリクエストに前向きではありません。蔵書にないもののリクエストカードをだしても微妙にいやな顔をされます。

(3)港区の図書館は洋書も借りられます。三田は法律書の揃えが充実しています。

(4)品川区の図書館はIT関係の図書が比較的豊富ですが、インターネットで予約しようとするとやたらに「その書籍は予約できません」という表示が多すぎます。

(5)世田谷区の図書館はなぜかレアな廃版になった書籍が多く揃います。

以上の図書館は渋谷区民であるわたくしでもすべて資料を借りることができます。

各図書館の特色は、そのまま各自治体の特色をよく反映していると思います。

奥田碩日本経団連会長も平成19年4月の郵政民営化で、30万から40万人の公務員が減るといって喜んでいます。

公務員の数がやたらに増殖してしまったことが国家組織に動脈硬化をおこさせているなら、どんどん非効率な組織を民営化していってもらいたいです。

公務とはそもそもそういう性質の仕事なのですから。
 


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2005/01/25

分母を減らそう、ノルマをこなせるから

元夫の暴力、女性の訴え放置し時効…慰謝料求め提訴

「県警監察官室によると、同署の巡査部長が被害届を受けたが、2001年3月、異動で事件を警部補(35)に引き継いだ。警部補は時効成立後の2003年6月ごろ、捜査の失念に気付き、同署が監察官室に報告したが、警部補は口頭注意にとどまった(読売新聞)。」

刑事訴訟法、第189条をご覧ください。

第189条〔一般司法警察職員の捜査権〕

「警察官は、それぞれ、他の法律又は国家公安委員会若しくは都道府県公安委員会の定めるところにより、司法警察職員として職務を行う。
司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。

司法警察職員、いわゆる警察官は,刑事訴訟法の定める権限を行使刑事訴訟法上の第1次的な捜査機関です。

この次に控える捜査機関が検察官になります。

警察官が第一次的捜査機関であることの、警察組織そのものにとっての利点として、もし犯罪検挙率を上げたければ、第一次機関である司法警察職員の段階で事件受理しなければいいのです。

分母を小さくすれば数字が大きくなるという数学であり、かつ数字のみが成績である官公庁組織における存続の古典的方法論です。

空き交番の問題や闇資金の問題など、いたずらに各論に執着することは全く問題の解決にはつながりません。

警察学校を出た青年が、どういう圧力の下をたどれば被害届の申し送りを”し忘れる”慣習を身に着けざるを得なくなるのでしょうか。

私たちがここで知るべきなのは、いびつな行政を強いている力学的不均衡の出発点がどこにあるのかです。

そしてそれはかならずしも警察行政そのものにはなく、ことによるとわたしたち自身から始まっている問題である可能性さえあります。



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2004/12/07

整備されてしまった巨大インフラに誰にもケチをつけさせるな

住基ネット侵入実験担当米国人、総務省を提訴

「長野県が昨年実施した住民基本台帳ネットワークへの侵入実験を担当した米国人のイジョビ・ヌーワー氏による総務省後援の発表が中止になった問題で、ヌーワー氏は22日、「総務省が内容の大幅な修正を強く迫り、講演をやめざるを得なくしたのは表現の自由の侵害だ」などとして、3000万円の支払いを求める国家賠償請求訴訟を東京地裁に起こした。」

憲法の21条をご覧下さい。

第21条

「集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。」 

イジョビ・ヌーワー氏は若いのですが、自伝が出ています。

自伝はどこからでているのかというとオライリーです。

オライリーというのは、DNS&BIND、表紙から俗にバッタ本などといわれますが、ネットワーク技術者必読の分厚い本を出している出版社です。

つまりヌーワーという人は、どこかの馬の骨ではありません。

それは置いておいて、まず法律的検討の前に誰もが感じうる人としての感覚で検討してみましょう。

記事には「表現の自由を否定されただけでなく、セキュリティー専門家としての誇りを著しくないがしろにされた」とあります。

そりゃそうでしょう。

調べろというから、プロの仕事でセキュリティホールを調べ上げ、問題点を指摘しようとしたところ急に取りやめにしろといわれたわけですから。

もしハック可能な穴を見つけていたとしたら、彼にすれば人として指摘したくてしょうがないでしょう。

果たして我々にとって話すとはどういう行為なのか、そしてそれを他者から力ずくでせき止められるとはどういった種類の屈辱なのでしょうか。

それに対して我々日本人が出している回答、それが憲法21条「表現の自由」なのです。

そこには「集会、結社及び出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と書いてあります。

しかしすべからくどの法律にも、利益衡量という背骨が貫かれています。

つまりいくら保障すると書いてあっても、それによって失われる被害が甚大な場合は裁判所はあなたに譲歩を迫るのです。

ではヌーワー報告で検討されるべき対抗利益とは何でしょうか。

国家保安でしょうか。

いや秘匿されている情報はそういった類のものではないので、ひょっとすると住民票コードの守秘、すなわち私たち一人ひとりの利益かもしれません。

これが不用意に漏れてしまったら、悪徳金融業者間で売買の対象にされかねません。 

いやいや待ってください、そもそも・・・

あなたも是非、ヌーワー氏の表現の自由が制約され得ざるを得なかった対抗利益とはいったいなんだったのか、お考えになってみてください。



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