2007/06/07

ディードスアタック:将軍は電子化した

“ハッカー大国”露政府、IT国エストニアにサイバー攻撃か(産経新聞)
「エストニア政府は先月末、第二次大戦でのソ連軍の勝利を記念した銅像を首都タリンの中心部から郊外に移転した。これに対してロシアは「戦死者に対する冒涜(ぼうとく)だ」などと猛反発し、政財界の有力者がエストニア製品のボイコットや経済制裁を呼びかけるなど両国関係は急激に悪化している。エストニア外交筋によると、サイバー攻撃は、同国政府が銅像を撤去した4月27日から始まり、一度に大量のアクセスを集中させてインターネット・サイトやネットワークをダウンさせている。これまで大統領府や政府、国防省、外務省といった多数の政府機関と主要な銀行や新聞社がサイトの停止などに見舞われ、一時は携帯電話網や救急ネットワークも攻撃を受けた。しかも、政府の専門家が調査したところ、初期の攻撃ではクレムリンやロシア政府のIPアドレスが使われていたことが判明。」

電気通信事業法の180条をごらんください。

第180条

「1 みだりに電気通信事業者の事業用電気通信設備を操作して電気通信役務の提供を妨害した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。(以下略)」 

DDoS攻撃とは、乗っ取った大量のコンピュータから一度に大量のアクセスを集中させサービスのダウンを狙うネットワークの攻撃方法をいいます。

ハッカーはまず将軍役となります。

そして選んだ数台の隊長役サーバに攻撃ツールを埋め込み、密かに乗っ取ります。

つぎにそのサーバが数百台から数千台のコンピュータを歩兵役に選び、同じように攻撃ツールが密かに埋め込まれます。

そして将軍が指令を送れば、歩兵が機能停止するような信号や処理能力を一斉にターゲットへ送りつけ、コンピュータの動作を落とそうとするのが、一連のオペレーションです。

その指令はメール一本で可能なので、ノートパソコン一台あれば世界中どこからでも気軽にサイバー戦争の火ぶたを切ることができます。

ツールの埋め込みには普通ワームが使用されますので、ワーム自体を捉えれば我が国の法律上、不正アクセス禁止法の3条2項2号に該当するともいえます。

しかし、もし攻撃者に通信回線そのものを輻輳させ、通常の機能を阻害するという重大な故意があった場合には、電子計算機損壊等業務妨害罪か、偽計業務妨害罪の成立が考慮されます。

そして場合によっては、2003年に韓国で起こったようにインターネット回線を構成する「通信の妨害」や「通信システムの破壊」という通信犯罪の被害結果が現実に生じることもあります。

このときは有線電機通信法違反(有線通信妨害罪・同法13条),電気通信事業法違反(電気通信提供妨害罪・同法180条)が適用される可能性があります。(出典:ハイテク犯罪捜査入門 捜査実務編―図解・実例からのアプローチ

結局DDoS攻撃はクリック一発で、一国のインターネット回線を麻痺にまで追い込むことができ、もしその結果を欲する他国があるとき、そのワームはサイバー戦争の手段として重要な兵器になり得ます。

そしてその砲火は、すでに通信回線の中を現実に飛び交っているようです。

 

 

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2007/04/18

条約という闘争、戦争という産業

銃撃された伊藤長崎市長が死亡 出血多量で(朝日新聞)
「当選した年の11月、オランダ・ハーグの国際司法裁判所での証言で、広島市長とともに「核兵器の使用は国際法に違反していることは明らか」と陳述。「違反とまでは言えない」との立場の外務省からは、文言をめぐって直前まで働きかけが続いたが、曲折の末、「違法」を明言した。 02年8月には「原爆の日」の「平和宣言」で、同時多発テロ後の米国の核政策を「国際社会の核兵器廃絶への努力に逆行している。こうした一連の独断的な行動を断じて許すことはできない」と述べ、初めて米国を名指しで批判した。 05年5月、米ニューヨークの国連本部で開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議の本会議場で発言。長崎の原爆で黒こげになった少年の写真を掲げ、「核兵器と人類は共存できない」と訴えた。」

ハーグ陸戦規則の第22条をごらんください。

陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約

第22条 [害敵手段の制限]

「交戦者は、害敵手段の選択に付、無制限の権利を有するものに非ず」 

1904年、わたしたちの国はロシアと外交を断絶した直後、宣戦布告なしで砲撃を開始しました。

ロシアはこの行為を国際法違反であると主張、1906年オランダで開催された万国国際法学会は、武力行動の前には宣戦布告が必要であるとの決議を採択しました。

そしてそれまで戦争の作法関する法律はおよそ慣習法しか存在しなかったため、1907年、ロシア皇帝の提唱で第二回ハーグ平和会議が開かれ、ハーグ陸戦規則が生まれました。

陸戦に関する諸規法規を包括的な体系下に成文化した唯一の条約として、ハーグ陸戦規則は鈍い光を今も放っています。(参照:解説条約集 2007 (2007) 三省堂)

あなたの家族を瞬時に焼き尽くす核兵器は、その使用を直接に禁止した条約がいまだ成立していません。

それは法という英知に逆らう存在なのか、それともそれを凌駕する存在なのか、結論が出せていないのです。

ただし東京地裁は昭和38年、いわゆる原爆判決と呼ばれる判例において、広島、長崎の原爆投下を違法だと判定しています。

判決は無防守都市に対する原子爆弾の投下行為は、盲目爆撃と同視すべきものであって、当時の国際法に違反する戦闘行為であるとします。

さらに、原子爆弾の破壊力は巨大であるが、それがはたして軍事上適切な効果をもつか、またその必要があったかどうかは疑わしく、セント・ペテルスブルク宣言やハーグ陸戦規則等の諸条約にかんがみると、原子爆弾のもたらす苦痛は、毒、毒ガス以上のものといっても過言ではなく、このような残虐な爆弾を投下した行為は、不必要な苦痛を与えてはならないという戦争法の基本原則に違反していると判断しているのです(東京地裁 昭和38年12月7日)。

核兵器は平時における政治的効用も有するため、その使用と製造を含む包括的な禁止条約はいまだに締結されていないのが現実です。(参照:現代国際法講義 杉原高嶺 他 有斐閣)

核兵器に関する勇敢な言説をためらわなかった一人の男性が、暗殺をもって公職を解かれました。

わたしたちはいつも失った後で、勇敢な人の稀少性に気がつくのです。

 

 

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2007/04/05

イージスの秘密がテューポーンを生むだろう

海自警務隊と捜査協力 イージス中枢情報漏えい(東京新聞)
「海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県横須賀市)の護衛艦「しらね」乗組員の男性2等海曹(33)がイージス艦のシステムの中枢情報などを隠し持っていた問題で、神奈川県警は4日、全容解明に向けて海上自衛隊の警務隊と協力して捜査を進めると発表した。「警察庁と防衛省との犯罪捜査に関する協定」に基づくもの。警察と自衛隊が捜査協力するのは極めて異例という。2曹の自宅から押収したハードディスク(HD)にはイージス艦の中枢システムの概要が把握できるデータなどが記録されており、こうした情報は日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法が規定する「特別防衛秘密」に該当するとみられる。」

秘密保護法の4条をごらんください。

日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法

第四条 

「特別防衛秘密を取り扱うことを業務とする者で、その業務により知得し、又は領有した特別防衛秘密を過失により他人に漏らしたものは、二年以下の禁こ又は五万円以下の罰金に処する。」 

無敵の鎧、イージスを纏ったアテーナーが誕生した様子は壮絶です。

その父ゼウスは、妻メーティスが懐胎中にその妻を喰ってしまいます。

しかし父ゼウスは凄まじい頭痛におそわれ、これを直すためにヘーパイストスが彼の頭を斧で打ちます。

するとゼウスの頭蓋を割って、勝利の雄叫びを高々とあげ槍を振り回しながら、完全武装したアテーナーが生まれてきます。

そのあまりに恐ろしい光景を見た神々はおびえ、大地はこだまし、海には黒い波が持ち上がったほどです。

その誕生の様子からもわかるように、アテーナーにとって戦いは至上の喜びでした。

彼女の胸は無敵の鎧アイギス(イージス)が守っており、それは蛇の縁取りと中央に恐ろしいゴルゴーの頭がついていました。

アテーナーの鎧、アイギスからその名をとった対空防衛システム、イージスの開発はそもそも第二次世界大戦中、日本による特攻機のような軌道で襲いかかる航空目標に対して米軍が頭を悩ませたことからはじまります。

現在そのシステムはレーダーや衛星、搭載ヘリコプターなどからとどく多角的な情報、さらに対潜、対空など多チャンネルのローカルエリアネットワークを、内部接続装置で戦闘形態に応じて組み合わせ、同時多発的な攻撃に対応して指揮できる中枢となっています。

情報がイージスという防空システムの中でどのような処理をなされているか、その機密こそ、無敵の鎧の名を冠した艦隊の生命線なのだといえるでしょう。

その構造や性能、製作、保管又は修理技術などを特別防衛秘密ということばで守り、秘密保護法という特別な法的セキュリティをかけようとするのもそのせいかもしれません。

実際、中国にはランゾウ級駆逐艦、ドイツにはザクセン級フリゲイト、イギリスには45型駆逐艦というそれぞれイージスに対抗する防空システムが開発されており、情報を手ぐすねを引いて待つ先はいくらでもありそうです。(参照:イージス艦入門―最強防空システム搭載艦のすべて

ところでアテーナーが生まれた後、ゼウスの別の妻ヘーラーはゼウスが一人でアテーナーを生んでしまったことに腹を立て、あてつけのように彼女も一人で怪物、テューポーンを産んでしまいます。

テューポーンの下半身はとぐろを巻いた蛇で、翼は太陽を覆い隠す恐ろしい形をしています。

自衛官の情報漏洩により、どこかの国にテューポーンが生まれてしまったとしたら、その罪は秘密保護法4条が規定する罰だけではとてもあがなえるものではありません。

 

 

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2007/04/02

ブラックホークダウン:人道的介入のクラッシュ

<ソマリア>首都で「最悪の戦闘」 民間人含め死者数百人(毎日新聞)
「ソマリアの首都モガディシオで29日からエチオピア軍・暫定政府連合軍とイスラム原理主義勢力の間で激しい戦闘が続き、民間人を含め数百人の死者が出ている模様だ。赤十字国際委員会は、ソマリアが91年に無政府状態となって以降「最悪の戦闘」としており、人道支援も届かない状態となっている。」

国連憲章2条の3項と4項をごらんください。

国際連合憲章

第2条

「この機構及びその加盟国は、第1条に掲げる目的を達成するに当っては、次の原則に従って行動しなければならない。

3 すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。

4 すべての加盟国は、その国際関係において、武力よる威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」 

リドリー・スコット監督の映画、「ブラックホークダウン」では、1993年10月3日、ソマリアの首都モガデシュで米軍のヘリコプター・ブラックホークが2機撃墜され、18人の死者と数十人の負傷者を出した、戦闘が描かれています。

映画冒頭の説明によれば事態はこうです。

「1992年、長期にわたる氏族間の紛争がソマリア全土に大飢饉を引き起こし、30万人が餓死していた。

首都モガデシュはソマリア最強の部族を指揮するアイディード将軍が援助物資を略奪することで征服していた。

アイディード政権を打倒すべく多国籍軍が派遣され、2万人の米国海兵隊が食料と秩序を取り戻した。

しかし1993年4月、海兵隊が撤退するとアイディードは再び宣戦布告、残留平和維持軍を狙い始めた。

8月、事態を打開すべく米軍の精鋭部隊が首都モガデシュに派遣されたが、3週間で将軍を捕らえるはずだった部隊の任務は6週間を過ぎても成功していなかった。」

実際、米軍は、レインジャー部隊とデルタチームを投入してアイディード将軍を捕縛しようとしていたたものの何度も失敗し、戦闘エリートのプライドは傷ついていました。

10月3日は、米軍がその名誉回復のため敵陣のまっただ中へ乗り込んで将軍の側近逮捕に向かった日でした。

2週間後、クリントン大統領はデルタフォースとレンジャーにソマリア撤退を指示、”ブラックホークダウン”という市全体を巻き込んでしまった戦闘は、最終的に国連平和維持軍を撤退させるきっかけとなりました。

国連憲章の2条はその3項で平和的手段により、国際社会が人道的な介入を行うことを促してはいます。

しかし同時にその4項は、それを軍事的手段で実現しようとすることを禁止しています。

いかに人道的介入といえども、砲火飛び交う場所を構えるのは、角度を変えれば軍事マーケットの産出にほかならないからです。(私見)

1996年、アイディードが死亡しましたが、元アメリカ海兵隊員であるその息子が跡を継ぎ、国内インフラが壊滅したソマリアの混乱は続いています。

”ブラックホークダウン”と呼ばれる戦闘で、ソマリア側には500人以上の死者と1000人以上の負傷者が出たといいます。

そこまでしてまで彼らが米軍と戦ったのは、アイディード派部族会議会場襲撃事件にはじまり、国連軍と米軍の軍事行動や市内パトロールでしばしば一般ソマリア市民が銃弾に倒れ、反米感情が高まっていたからだといいます。(参照:ソマリア ブラックホークと消えた国 下村靖樹 インターメディア出版)

彼らの側からの視点も加えて見れば、ブラックホークダウンは国際社会の人道的介入と国家主権という二律背反が引き起こした市街戦だったといえるかもしれません。(私見)

わたしたちはいまだ、その難しい問題に対する答えにはたどりついていません。

一つだけニュースをもってわかることは、国際社会の人道的介入中も、引き揚げた今も、ソマリアの赤い地はいまだ銃弾だけが支配しているということです。

 

 

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2006/10/10

そのシマには黒い金が流れているから

ロシア:反プーチンの著名女性記者、自宅アパートで射殺(毎日新聞)
「【モスクワ町田幸彦】ロシアのチェチェン紛争問題でプーチン政権の弾圧策を批判してきた著名な女性記者、アンナ・ポリトコフスカヤさんが7日、モスクワ市内の自宅アパートで射殺体となって見つかった。ポリトコフスカヤ記者は99年から第2次チェチェン紛争を取材し、ロシア連邦軍による住民虐待の実態を暴く記事を発表した。02年10月のモスクワ劇場占拠事件ではチェチェン独立派武装勢力の犯人グループとロシア当局の交渉を仲介した。04年9月、北オセチア学校占拠事件を取材するため搭乗した航空機中で紅茶を飲んだ後に意識不明となり、「毒殺未遂」に遭ったと訴えた。警察当局によると、記者の遺体が発見されたアパートのエレベータ-には拳銃1丁と弾丸4発が残されていた。犯人の具体的な情報は明らかになっていない。ポリトコフスカヤ記者が所属する独立系ノーバヤ・ガゼタ紙のムラトフ編集長は「彼女が執筆したチェチェン問題の記事を近く掲載する予定だった。殺害はこの記事と関連している可能性がある」と語った。ロシアではジャーナリストの殺害事件が90年代から続発している。」

日本国憲法の21条をご覧下さい。

第21条〔集会・結社・表現の自由,検閲の禁止,通信の秘密〕

「集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。

 検閲は,これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。

わたしやあなたの国ではジャーナリストが取材する自由は、憲法の21条で保障されると法学上解釈されています。

最高裁の判例でも、取材の自由は十分尊重に値いするものだと明言したものがあります(昭和44年11月26日 博多駅テレビフィルム提出命令事件等)。

しかし政府が報道を管理しているといわれるロシアでは、ジャーナリズムは異なる仕事を負わされているようです。

もし母国の政府を批判するジャーナリストが国家権力により殺害される国があるとすれば、そこはもはや国民自身から査定されることを権力が拒絶した国家なのだといえます。

言い方を変えれば、取材の自由の保護度合いはどの程度民が主である国家なのかを計るスケールになるということです。

殺害されたアンナ・ポリトコフスカヤさんはロシア国防省特別建設総局の汚職を著書のなかで次のように告発しています。

「この戦争は結局のところそれを遂行している者すべてにとって好都合なものなのだ。それぞれが自分の持ち場を得ている。契約志願兵は検問所で十ルーブルから二十ルーブルずつの賄賂を四六時中手に入れている。モスクワやハンカラの本部にいる将軍たちは予算に組まれた「戦争」資金を個人運用する。中間の将校たちは「掃討作戦」で略奪する。そして全員合わせて(軍人+一部の武装勢力が)違法な石油や武器の取引にかかわっている。」[チェチェン やめられない戦争 アンナ・ポリトコフスカヤ NHK出版]

現実問題としてアメリカと戦争をするはずのない現在のロシア軍が、贅沢に弾薬を使用し、兵舎の建設などインフラ整備を進められる場所はチェチェンのみです。

予算案提起や事業の発注、私企業による受注のできる権力者にとっては自国の富をポケットに引き込める終わりなき公共工事にすることもできます。

さらにチェチェンの膝元にはカスピ海の豊富な石油資源が眠っており、弱体化したロシアという国家にとってもこの世界最高の商材を見逃すわけにはいきません。

チェチェン人という呼び名はロシア人によって名付けられたものであり、実は彼ら自身は自らをナフチ人と呼ぶのだそうです。

ナフチとは「ノアの人々」という意味で、エホバの洪水を逃れたノアの箱船の民を意味するのだといいます。(参照:チェチェン紛争 大富亮 東洋書店)

ノアの箱舟の話は旧約聖書だけでなくイスラムの聖典コーランにも書かれています。

それによればノアとその子孫たちは、大洪水という罰で一旦神の怒りを解かれます。

しかし再びその数を地上に増やしだすと人間はかつての神の怒りを忘れ再び栄華を追求し、神の居所である空をも切り裂くバベルの塔を建てようとします。

大洪水による罰を二度と与えないと人間に約束していた神は、人間の言葉をさまざまな言語に分けてしまい、意思疎通をできなくする罰を与えたのだといいます。

その地バビロンは、今のイラクあたりのことだといわれ、地球儀でみてみればそれはチェチェンから南にそれほど遠くなく位置しています。

財産の私有化を許したロシアでは富の偏在が進み、持たざる者となった大衆の怒りと崩壊した旧ソ連邦の自信が、独立しようとする山岳民族を許さない強いプーチンを後押ししているのだといいます。

プーチンと新興富豪は、チェチェンに新たなバベルの塔を重ねようとしているのかもしれません。

いずれにせよ事の本質を読むためには、解釈される前の大量の事実を机上に並べる必要があります。

残念なことにそれを続けてきた優れたジャーナリストが、エレベータの中で殺されました。

 

 

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2005/01/10

パンフが殺戮を予告する

有事手引、07年度に全戸配布・避難や救急方法を周知(日経新聞)

「政府は9日までに、日本が弾道ミサイルやテロ攻撃を受ける有事の際の避難・救急方法、連絡先などをイラスト付きで説明した手引書を作成し、2007年度中に全世帯に配布する方針を固めた。」

俗称、国民保護法の第4条をご覧ください。

武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律

第四条(国民の協力等)
「国民は、この法律の規定により国民の保護のための措置の実施に関し協力を要請されたときは、必要な協力をするよう努めるものとする。(以下略)」

なんだかそういう手引書が各戸に配布されるとなると、いよいよ不気味な感じがしますがしてきます。

しかし国民保護法を成立させてしまった以上、しようがありません。

国民保護法は有事を想定した特別の状態を発動させる法律です。

このため、統治の原則を変形させる余地を許しており、有事という大義の下、引っ込まさせられるものは戦後少しずつ築いてきた個々人の人権であるため注意が必要です。

配布されるという手引書の裏表紙あたりに「欲しがりません、勝つまでは」などというスローガンが書いてないことを祈るのみです。

(Copyright(C) 恵比寿法律新聞)

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2004/12/06

壇上で花がざわめきだす

陸自幹部憲法草案、中谷氏が「個人的に依頼」・官房長官

憲法の第66条をご覧ください。

第66条

「1 内閣は,法律の定めるところにより,その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は,文民でなければならない。
3 内閣は,行政権の行使について,国会に対し連帯して責任を負う。」 

どうにも当たり前のような条文ですが、明治憲法と比較するとこの文章に驚くべき構図転換があります。

すなわち、マッカーサー草案以前の大臣君たちは、壇上に鎮座した陸海空大臣を見上げ、軍部の意のままの行政を執り行ってきた歴史があったからです。

66条1項は、私見ですが、壇上の軍部大臣が居なくなり、演壇には花が飾られ、「ワシら軍人はどうも首らしいから、あとは君ら民間人でどうぞ民主的にやってくれ」という意味に読み取るのが本来的であるように思われます。

現憲法66条のそういった経緯から逆に読み取れば、今回、憲法改正案に軍部がかかわってきたことは、壇上の花が生気を失い、緞帳の背後になにやら物騒な物音が聞こえてきたことを意味する予兆でさえあるかもしれません。
 
 


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