2007/11/24

住民は侮れ、俺たちは同心だ

元警部補、無罪主張=鹿児島県議選「踏み字」事件-福岡地裁
「12被告全員の無罪が確定した2003年の鹿児島県議選に絡む任意聴取の際、親族の名前を書いた紙を無理やり踏ませたとして、特別公務員暴行陵虐罪に問われた元鹿児島県警警部補の浜田隆広被告(45)の初公判が22日、福岡地裁(林秀文裁判長)であった。浜田被告は「踏み字を1回させたのは事実。不快な思いをさせ、反省している」と事実関係は認めた上で、特別公務員暴行陵虐罪については「加虐行為に当たらない。違法性があるとしても公務員職権乱用罪だが、時効になっている」として、無罪を主張した。」

刑法の195条1項をご覧下さい。

195条(特別公務員暴行陵虐)

「1 裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁錮に処する。」 

公務員は公務を遂行するため国民に対し法律上または事実上の負担・不利益を生ぜしめる特別の権限が与えられています。

このためそれを不法に行使するときは、公務の適正な執行を害するだけではなく、国民の利益を不当に侵害します。

このことから、職権乱用の罪とは、公務の適正な執行と併せて国民の利益を保護するため本罪が設けられたものなのだと学説上の通説は解釈しています。

実は私たちが戦争にまけるまで使っていた憲法下では、公務員の職務に関連した違法行為は、驚くほど大目に見られてきました。

しかし戦後に建立された日本国憲法は、15条2項で「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」とし、さらに36条で「公務員による拷問……は,絶対にこれを禁ずる」としています。

戦争後のこれらの新規定を迎えて、刑法は職権濫用の罪をとても重く再設定しています。

本件の元警部補、浜田隆広被告が検察によって問われている”特別公務員暴行陵虐罪”とは、職務の性質上,人の自由や権利を侵害する職権を与えられている裁判官や警察官などの特別な公務員が、「他人をあなどり、はずかしめる」こと、「他人をいじめる」ことを行ったとき処される厳罰の用意のことです。

それは具体的には、暴行以外の方法で精神上または肉体上の苦痛を与える一切の虐待行為をいいます。

たとえば相当な飲食物を与えないこと、必要な睡眠をさせないこと、女子の被疑者に対し取調べに当たった巡査がわいせつまたは姦淫の行為をすることなども陵辱・加虐に当たります。

対して浜田隆広被告本人が主張する公務員職権濫用罪とは、「公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した」という行為をいいます。

それはたとえば町会議員が戸数割等差配当案の審議に当たり、不当に反対派の者に対する等級を引き上げ、町会の決議の効力によって過当の納税義務を負わせたこと(大正11年10月20日判例)をいいます。

また「裁判官が、司法研究その他職務上の参考に資するための調査・研究という正当な目的ではなく、これとかかわりのない目的であるのに,正当な目的による調査行為であるかのように仮装して身分帳簿の閲覧、その写しの交付等を求め、刑務所長らをしてこれに応じさせた」こと(昭和57年1月28日判例)もそうです。

さらには「裁判官が自己の担当する窃盗被告事件の被告人である女性と清交を結ぶ意図で、夜間電話で被害弁償のことで話し合いたいといって同女を喫茶店に呼び出し、店内において約30分間同席させること(昭和60年7月16日判例)などが、判例としてあげられています。(以上参照:刑法講義各論 大谷實)

つまり特別公務員暴行陵虐罪と公務員職権濫用罪のあいだで決定的な差があるとすれば、それは「行為に物理的に理不尽な強制があっただけでなく、私たちの心を踏みにじった行為が特別公務員によって行われた」ときに限り、「特別公務員暴行陵虐罪」と呼ばれる重罪の出動機会になるのです。(私見)

重職に就く公務員が軽々に国民を侮り、辱めた行為が記録上もはっきりと残った本件を、裁判所は戦前のようにおおらかに扱うか、あるいは厳罰を適用するのか、その判断が負う仕事とは、単にえん罪事件の予防効果だけではありません。

そこには、敗戦後という60年の時代の意味をいったんシャッフルしてしまう危険性まで内包されているのです。(私見)

 

 

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2007/08/26

STALKING COP:偏執という病

巡査長の不明把握、7時間後 警視庁、立川署を特別監察(朝日新聞)
「友野巡査長による女性射殺事件では、殺害当日、巡査長が交番を出てから遺体発見まで約13時間を要した。所在不明になったのを署が把握し、捜し始めたのは、いなくなってから7時間以上後だった。巡査長は以前から勤務中に姿を消すなどの問題行動を繰り返していたこともわかり、警視庁は「職員の勤務管理が不十分だった」として、同署に対し、22日から異例の特別監察に入った。 」

国家公安委員会規則第二号の第3条をごらんください。

監察に関する規則

第3条

「監察は、監察実施計画に従い、実施しなければならない。ただし、警察の能率的な運営又はその規律の保持のため特に必要があるときは、その都度、速やかに、実施しなければならない。」 

(以下参照:警察への国民の信頼回復を目指して―警察不祥事の現状とその対策

警察組織には、警察運営の実態を具体的に把握するとともに警察職員の服務の実情を明らかにするための内部監察の仕組みを設けています。

警察庁では長官官房の首席監察官と人事課で、管区警察局では総務部の監察官と警務課で、また各県警察では首席監察官室等で監察が実施されています。

監察機能は、不祥事の発生時に迅速・的確・厳格な実態の解明を行うことで、事案を的確に処理する役割を果たします。

警察庁は最近の警察官による不祥事の頻発を受け、県警察本部長等に対し、平成11年11月の次長通達で「監察担当者の実務能力の向上に努める」こと等を指示しています。

また、国家公安委員会では、新たに監察に関する規則(平成12年国家公安委員会規則第2号)を制定し、監察実施計画の作成等の基本的事項を定めています。

監察実施計画のない、今回のような緊急の特別監察は、この監察に関する規則第3条を発動させたものであると考えられます。

なにも日夜命がけで働いていてくれるおまわりさんに限らず、人の仕事はすべからく放っておけばそのタガがどんどん緩みます。

しかし日常的に武装が許されている公務員、そのおまわりさんの不祥事が、内部の自浄作用能力の限界を超えてしまえば、その臨界はあまりに危険であるため、公安が用意した石の棺、それこそが平成12年国家公安委員会規則第2号です。(私見)

偏執という病は、自分の抱える苦しみの原因を、自分の外部に執拗に探そうという人が築きあげる、無限回廊です。

そして誰が考えても、自らの責任を飲むつもりのない人に、真の解放がやってくることはありません。

特に彼が腰に国家権力をぶらさげているならば、回廊は時に血まみれになるのです。

 

 

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